中教審答申における学校事務職員の職務
2019年に出された中教審答申「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」が、第4章・第5章で、学校事務職員の職務について触れています。
第4章「学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」において、これまで学校及び教員が担ってきた業務の中で見直すべきと考えられるものについて例示しています。学校事務職員が関わるものとしては、以下の業務が挙げられていました。
学校の業務であるが必ずしも教員が担う必要のない業務として、⑤調査・統計等への回答等(事務職員等)
従来は教員が担っているが教員の負担軽減が可能な業務として、⑫学校行事の準備運営(事務職員等との連携、一部外部委託等)、⑬進路指導(事務職員や外部人材との連携・協力等)
学校事務職員が取り仕切る学校運営の各業務については『学校事務職員が取り仕切る学校運営の各業務』に記しています。
第5章「学校の組織運営体制の在り方」において、学校が組織として効果的に運営されるために必要な取り組みとして、以下の3つが挙げられています。
校長や副校長・教頭に加え、主幹教諭、指導教諭、事務職員等のミドルリーダーがリーダーシップを発揮できる組織運営。
ミドルリーダーが若手の教師を支援・指導できるような環境整備。
事務職員やサポートスタッフ等との役割分担、事務職員の質の向上、学校事務の適正化と事務処理の効率化。
1つ目に挙げられた取り組みからは、学校事務職員は学校事務職員の職務領域(学校運営の領域)でリーダーシップを発揮することが求められていることがわかります。3つ目に挙げられた取り組みから、事務職員は学校運営業務の適正化・効率化とは別のことについての質の向上が求められていることがわかります。2017年の学校教育法改正による、新しくなった事務職員の職務を遂行できる、学校の運営業務を正しく回す・効率良く回すだけでなく効果的に回す・上手く回すという高品質な職務遂行能力が求められていると考えられます。
この答申を踏まえて、文科省は2020年に「事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について(通知)」を出して、その別表で標準職務の表の例を示しています。そのことについては、『学校事務職員の職務の明確化通知』に記しています。
学校事務職員の職務が「学校運営業務を取り仕切ること」 であることの法令上の根拠については、『学校教育法における学校事務職員の職務規定』に記しています。
2017年の学校教育法の一部改正で、学校事務職員の職務規定が変更された際に出された、文部科学事務次官通知が、学校事務職員の職務について触れています。それについては『文部科学事務次官通知における学校事務職員の職務』に記しています。