学校運営と学校経営
学校運営
学校運営とは、一般的には指導業務と学校運営業務を合わせた学校業務(校務)を回していくことを意味します。簡単に言うと学校運営とは学校を回していくことです。期間は関係なくて、1時間でも1日でも1週間でも1年でも学校運営です。主体は管理職も含めたその学校の教職員集団です。たとえば電話対応、会計の処理、給与明細配付、教科書証明の発行、弁当の注文をする、チャイムが鳴らなかったので手動で鳴らす、最後に学校を出る人は鍵をかける、用務員さんがプランターの花に水をあげる、教員が週番で門に立つ、学校行事として運動会を開催する、全て学校運営の一環です。
2017年に学校教育法の学校事務職員の職務規定が改正され、学校事務職員の職務が学校運営業務を取り仕切ることとなってから、「これまで以上に学校事務職員の学校運営参画・校務運営参画を求める」と様々なところで言われています。上で挙げた学校運営の例で言うと「学校事務職員が全部の電話に出る」「学校事務職員が最後に学校を出て鍵をかける」ということでは、もちろんありません。たとえば教職員はどのような電話対応を心掛けるべきかを教職員に提案するとか、施設の危機管理の観点から施錠についての校内ルールを徹底させるにはどういう工夫ができるか考えるとか、管理運営業務に精通しているという学校事務職員の特性に基づく発想や提案が求められていると考えられます。
学校経営
学校経営とは、学校業務(校務)の回し方を、変えるとか変えないとか、変えるならどう変えるとかを、決めたり指揮したりすることです。主体は校長です。たとえば電話に留守電をつけるとか、花が枯れないように夏季休業中の水やりの当番制を導入しようとか、まわりの学校は運動会を中止したけど本校は決行するとかです。会議で決めているように感じることがあるかもしれませんが、実は違います。会議としての判断を参考に校長が決めています。だから問題が起こったときは、会議で賛成した教職員が責任を負うことはなく、校長が責任を負います。
学校経営参画
学校経営参画とは、校長の学校経営に関わっていくことです。校長の経営判断をアシストするということです。学校事務職員の学校経営参画とは、学校事務職員が、学校運営業務を取り仕切るという職務の特性を活かして、校長の経営判断をアシストするということです。
たとえば、学校運営業務についての意見を求められたときに意見を言うことも、学校経営参画です。意見を求められていなくても校長が知っておいた方が良いのではないかということを主体的に伝えること、これも学校経営参画です。これができるためには、校長の課題意識などについて日頃から把握しておく必要があります。
校長が何かを判断するために調査やデータ分析を依頼されてそれに応えること、これも学校経営参画です。依頼に応えるだけでなく、求められる前に校長が経営判断に必要かもしれないことについて、データを集めたり調査したりデータを分析したりして、主体的に進言することも学校経営参画です。
学校経営参画は学校事務職員だけに求められている訳ではありません。生徒指導担当の教員は生徒指導担当として校長の判断をアシストし、教務担当の教員は教務担当として校長の判断をアシストし、用務員は用務員として校長の判断をアシストし、学校事務職員は学校事務職員として校長の判断をアシストすることで、校長の経営判断がより適切になり、その学校の教育がより良くなります。教員はたくさんいますが、学校運営業務に精通しているのは、学校運営業務を取り仕切るのが職務である学校事務職員だけです。学校事務職員は意欲的に主体的に学校経営に参画して、学校運営の円滑化や教育の充実を図ることが求められています。